おはよう、兄ちゃん。
今日は風が強いよ。
兄ちゃん、雨が降り出した。母さん、今降ると困るんだ。どうにかしてや。
兄ちゃん、兄ちゃん、兄ちゃん。
気付けば亡くなった息子に頼み事してる。
兄ちゃん、兄ちゃん、兄ちゃんって呼んでる。
生きてる時に、そんなに呼んだかなぁ。
パソコンに忙しいから、あまり呼んでないね。
妹が学校や部活や友達の愚痴を言うから聞いてやらねばと思って、兄ちゃんとはたまに「学校は大丈夫?レポート出してる?日曜日は何時から?」って最低限の話ばかりだったね。
あとは卒業後のこと。
だって、兄ちゃん。
「レポート出してるよ」「試験の申し込みを出したよ」って言うから。
「本当に出したん?」「大丈夫よ、出したよ。」「日曜日は?」「10日は無いよ。17日。」「分かった、17日やね。」
17日。
あるわけ無いんだよ。14日が後期試験申し込み締切なんだから、そこまでにレポートとスクーリングが済んでないとダメなんだから。
死んだ日に気付いたんだ。
そのあと、兄ちゃんが12日に、学校にどうにかならないか問い合わせたことを知ったんだ。
これは死んでからだけどね。
兄ちゃん。
もっともっと、呼べば良かったね。
兄ちゃん。
もっと話せば良かったね。
兄ちゃん。
今からじゃ、遅いよね、遅すぎたね。